プロローグ
26才フリーターで結婚→就職・転職3回→29才起業→30才会社設立…。
これが3年半の僕の履歴書。
大学在学中からミュージシャンを目指しをながら、毎朝5時に起きて、自宅から電車で1時間かけてパン屋でアルバイトをしていた。
そこはデパートの地下1階で窓がなかった。
天気が良くても悪くても、朝でも昼でも時間の感覚はなく、唯一時間を把握できるのは、分刻みに決められた製造工程。今、どのパンを作っているかでだいたいの時間が把握できた。そんな感覚さえ身に付いてしまうくらいアルバイトを続けていたのかもしれない。
昼休みはこのデパートの8階社員食堂で自分で作った最高にまずいおにぎりを食べていたが、同じデパートで綺麗な格好をして働く服売場の人たちは、いつも僕が近づくのを嫌がっているように見えた。
どうやら粉っぽいらしい。
腹六分で8階の社員食堂からまた地下1階までエレベーターで降りていく。
「いつか地下を脱してやる。。。」
「景色のいいビルの上層階で、きれいな服を着て仕事をしてやる。。。」
そんな思いをいつもほんのり思っていた。
ほんのり…だったけれど。
ミュージシャンを目指しながらも、その頃はほとんどがバイトか自宅引きこもり。
1週間のうち、3日はフリーター、3日はニート、1日はスタジオ練習。
(もちろん、作曲や楽器の練習はしていた。)
そんな暮らしをこの頃はしていた。
起業、創業・・・。
そんな言葉、知る由もなかった。
むしろ頭の中はいつもデビューという言葉が飛び交っていた。